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うろぱす副船長のYAHOO映画レビューの加筆・修正

右寄り保守系軍事オタクの映画評。感想は辛口ですが映画への愛情の裏返しです

マイケル・チミノ追悼レビュー・天国の門


マイケル・チミノ追悼レビュー・天国の門

アメリカでの酷評が信じられない、壮大な西部開拓史と映像美が秀逸だ

うろぱす副船長評価  80点
2016/7現在YAHOO映画レビュー得点 3.67点


先日、映画監督のマイケル・チミノ氏が亡くなりました。
「ディア・ハンター」で世界中から絶賛され一躍時代の寵児になりましたが次回作の「天国の門」が酷評され一時、ハリウッドを追放される羽目に。まさに”天国から地獄へ転落”したのです。「天国の門」の酷評はマイケル・チミノの生涯に常に付きまとった。ハリウッドでも「天国の門」は失敗作・大コケの代名詞にまでなってしまったのです。

アメリカ人は自国の恥部を描く映画には冷淡だ


ところで昭和45年に製作された日米合作の戦争大作「トラ!トラ!トラ!」は日本では大ヒットしたがアメリカでは”国賊映画”として酷評され興行的にも失敗した。アメリカ人は自国の恥部を描く映画には冷淡な国民性です。映画に限らずイチローの日米通算打数を”参考記録に過ぎない”と開き直るなどアメリカ人は意外なほど尻の穴が小さい。

「天国の門」もアメリカ西部開拓史の恥部とされるワイオミング州で起きたジョンソン郡戦争をテーマにしたのが特に保守的な白人層を刺激してしまったのでしょう。本作では農場主に雇われた傭兵が東欧系移民を大虐殺した様子が描写されているがこれは史実と異なり実際には数人の犠牲者が出ただけとされる。この史実と異なる展開が白人保守層の怒りを更に増幅させた。

このあたりが戦勝国の驕り・自信過剰の一端です。
敗戦国の日本やドイツでは自虐史観の映画の方が高評価されるのと全く真逆の現象と言えます。

本作は史実の再現ではなくチミノ流の演出・創作が加えられたがそれが火に油を注ぐ結果となってしまったようです。

もともとオリジナル版(219分)は長すぎるとして日本公開版は(149分)とかなり短縮版となった。それでも公開当時の日本での本作に対する評価はそれほど悪いものではなかった。私もチミノ独特の映像美と正確な時代考証を十分に堪能出来たしアメリカでの酷評が信じられなかったものです。今にして思えばアメリカでも「ディア・ハンター」の成功で若くして成功したチミノへの妬みから映画そのものへの評価よりもチミノへの個人攻撃で酷い誹謗中傷になったのかもしれない(ハリウッドは若い成功者には冷たい。スピルバーグへの評価がそれを端的に表している)。

私がオリジナル版をWOWOWではじめて観たのは公開からかなり時間が経っていた90年代後半であった。
自宅でゆったりと観れば219分は苦痛ではないし短縮版では味わえなかった本作の構成と映像は素晴らしいものがあった。日本以外でも欧州でも本作への評価はそれなりに高いらしい。酷評なのは尻の穴が小さいアメリカ人だけなのかもしれない。

「ディア・ハンター」と「天国の門」ではロシア・東欧系を、「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」では中国系とマイケル・チミノはアメリカのマイノリティーの人々の生き様を赤裸々に描いてきた。少数者を描けば彼は一流の映像作家であった。






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  1. 2016/07/09(土) 09:11:20|
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マイケル・チミノ逝く

マイケル・チミノ逝く

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「ディア・ハンター」「天国の門」で知られる映画監督マイケル・チミノが逝去したとIndiewireなどが報じた。77歳だった。

チミノの死去は、カンヌ国際映画祭のディレクターであるティエリー・フレモーのTwitterへの投稿によって明らかになった。死因など詳細は不明だが、チミノは家族と彼を愛した女性2人に囲まれて息を引き取ったという。

チミノは「ダーティハリー2」などの脚本を手がけたあと1974年に「サンダーボルト」で監督デビュー。ロバート・デ・ニーロ、クリストファー・ウォーケン、ジョン・カザール、メリル・ストリープが出演した1979年公開の「ディア・ハンター」でアカデミー賞作品賞、監督賞など5部門に輝いた。1980年には大作「天国の門」を手がけたが、興行的に失敗しその後のキャリアに影を落とした。

「エクソシスト」で知られるウィリアム・フリードキンはチミノについて「彼が生きている間に敬意を表するべきだった。優れた技量を持つ監督だった」とTwitterでコメント。「ショーン・オブ・ザ・デッド」の監督エドガー・ライトは「信じられない。『サンダーボルト』は僕のお気に入りの映画なんだ。R.I.P.」とツイートした。(映画ナタリー)


「ディア・ハンター」は私の生涯で恐らく最高の映画

マイケル・チミノ氏が亡くなりました。
77歳。40年近く昔の話ですが世界中で大ヒットした「ディア・ハンター」を監督した時は40歳で”ハリウッドの若き新星”と賞賛され一躍時代の寵児となったのですが、時間が経つのは本当に早いものです。

マイケル・チミノは成功作と失敗作の差が激しい監督としても知られた。「ディア・ハンター」でオスカーを総なめしたと思ったら次作の「天国の門」では大コケしハリウッドを一時追放される羽目に。ジョン・ローンが出演した「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」で再び脚光を集めたが「シシリアン」ではまたしても厳しい酷評を受ける。彼の人生を振り返ると「ディア・ハンター」公開時が頂点だったが、その後は不遇だったとしかいいようがありません。

私にとっても忘れられない監督だがやはり何といっても「ディア・ハンター」に尽きる。本作は本当に素晴らしい映画だった。アジア蔑視とかベトナム戦争の描き方がアメリカ視点で偏向しているなど批判も多いが極限状態の人間を描いた作品としてその名声は不滅だろう。主人公たちの故郷であるペンシルバニア州の街並みとロッキー山脈の美しさが今も脳裏から忘れられない。

私にとっては黒澤明の「七人の侍」、「隠し砦の三悪人」と並んで生涯最高の映画です。

マイケル・チミノ氏の御冥福をお祈りします。

合掌・・・

  1. 2016/07/03(日) 20:00:26|
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うろぱす副船長

Author:うろぱす副船長
うろぱす副船長と申します。
以前からYAHOO映画レビューを書かせて頂いておりますがYAHOO映画では過去記事の訂正や加筆・修正が出来ないのでこちらであらたに書き直したいと思っています。

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