FC2ブログ

うろぱす副船長のYAHOO映画レビューの加筆・修正

右寄り保守系軍事オタクの映画評。感想は辛口ですが映画への愛情の裏返しです

映画「戦国自衛隊」の感想

戦国自衛隊

1979年12月公開
原作:半村良 製作:角川春樹 監督:斎藤光正 脚本:鎌田敏夫
出演:千葉真一 夏八木勲 中康治 江藤潤 錦野旦 三浦洋一 かまやつひろし 渡瀬恒彦 河原崎建三 角野卓造 鈴木ヒロミツ 竜雷太 小野みゆき 岡田奈々 薬師丸ひろ子 草刈正雄 小池朝雄 仲谷昇 鈴木瑞穂 成田三樹夫

千葉真一が”「戦国自衛隊」は自分が出演した作品の中でも3本に入る”と語った。彼にとってもそれだけ思い入れのある作品なのだろう

うろぱす副船長評価 75点
2014年8月現在 YAHOO映画レビュー得点 3.64点

1979年(昭和54年)に公開された角川映画「戦国自衛隊」
主演の伊庭3尉を演じた千葉真一は”「戦国自衛隊」は自分が主演した作品の中でも3本に入る”と彼の映画人生を振り返っています。自衛隊が戦国時代にタイムスリップするという日本映画史上に記憶される奇想天外なストーリーの「戦国自衛隊」は映画ファンだけでなく主演俳優にも忘れられない作品になったようです。

この映画が公開された昭和50年代は邦画冬の時代でありそんな中で唯一、角川映画のみが一人多くの話題作を提供している状況でした。角川映画には当初から賛否両論があったが日本映画界に新しい風を吹かせた事は紛れもない事実だろう。その角川映画の中でも一際大きな話題となり後の映画界にも多大な影響を残したのが「戦国自衛隊」であったろう。

日本映画は変にリアリズムなところがある。
実は本作と同時期に「影武者」を撮影していた黒澤明監督は”戦車が出てくる時代劇なんて・・・”と「戦国自衛隊」の発想そのものを否定していたのだ。黒澤明だけでなく当時の権威ある映画評論家も「戦国自衛隊」を批判的に評価する人は多かった。

私はその否定的見解を批判するつもりはないが、その保守的な製作姿勢が日本映画の衰退の一因であった事も事実に相違ない。

映画版は半村良の原作と比べて内容がかなり異なっている。
私は半村良の原作が好きだったのでこの内容変更には違和感が確かにあった。特に自衛官が反乱を起したり仲間を殺したり女性を強姦するなどのシーンには素直には受け入れられないものであった。監督の斎藤光正や脚本担当の鎌田敏夫が”この映画を青春映画にしたい”という構想から原作をベースにしつつ大幅な内容変更になったものと思われる。

当時から歴史好きだった私は半村良の原作に忠実な脚本を期待していたのでこの設定の変更にはやや期待を外された感はあった。

原作とは大幅に異なる脚本には不満がある一方で「戦国自衛隊」には高く評価出来る部分も多数あった。
最大の評価点は何と言ってもそれまでの日本映画界の発想を根本から覆すような大胆なSF的発想である。旧態依然とした保守的な他の映画会社ではとても企画立案など出来なかったのだろう。やはり角川映画でしか「戦国自衛隊」は映画化できなかったのだ。

また、千葉真一自らアクション監督となって日本映画としてはかなり大掛かりなアクションシーンが撮影された。
特に丸岡城の天守閣にヘリコプターを接近させて撮影した件は度肝を抜かれるほどの迫力があった。現在ではいろいろと規制が厳しくなり天守閣にヘリコプターを接近させて撮影なんて絶対に許可がおりないだろう。  

戦車やヘリコプターが武田騎馬隊と戦うシーンもそれまでの日本映画では絶対に存在し得なかった映像でありそれだけでもその独自の世界観を大いに堪能出来たのだった。

「戦国自衛隊」の直接製作費は当時の貨幣価値で約9億円であった。
日本映画では頑張ったほうだがハリウッド作品に比べれば雀の涙程度の僅かな予算である。その僅かな予算で撮られた日本映画史の転換点にある作品が「戦国自衛隊」なのだ。「戦国自衛隊」は日本映画伝統の細部にまでに拘った職人技は継承している。この職人技による手作り感が素晴らしいのだ。

補足
1)この映画の撮影にあたってレプリカの61式戦車が製作された。
この61式戦車は”角川製61式戦車”と呼ばれその後も多くの映画やテレビドラマに出演した名優戦車として知られる。

2)本作に出演する女優はセリフが全くない。
岡田奈々、薬師丸ひろ子、小野みゆきなど当時の人気女優たちにセリフが一言もないのはある意味で新鮮な驚きだった。

3)「戦国自衛隊」ではその後の日本の芸能界の中核となって活躍した人が多く出演しているのも注目点の一つである。
個人的に忘れられないのが反乱軍に加担し女性をレイプしまくる悪徳自衛官を演じた角野卓造。今やテレビドラマの重鎮であり良きお父さん役が定番だが若い頃はこんな過激な役も演じていた。


スポンサーサイト



  1. 2014/08/31(日) 20:25:14|
  2. 映画
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

リチャード・アッテンボロー逝く


リチャード・アッテンボロー逝く

【AFP=時事】(一部更新)『ガンジー(Gandhi)』(1982)でアカデミー賞(Academy Awards)監督賞を受賞し、『大脱走(The Great Escape)』(1963)や『ジュラシック・パーク(Jurassic Park)』(1993)などのヒット作に出演した英映画監督・俳優のリチャード・アッテンボロー(Richard Attenborough)氏が、長い闘病生活の末、24日昼ごろ死去した。90歳。同氏の息子が英国放送協会(BBC)に明らかにした。(AFP=時事)


先日、リチャード・アッテンボローが監督した戦争映画「遠すぎた橋」の感想を書いたのですが本日、そのアッテンボロー氏の訃報を聞きました。「遠すぎた橋」や「ガンジー」などの監督作も忘れられないのだがやはり俳優としての活躍が記憶に残ります。

中でも1963年公開のジョン・スタージェス監督作「大脱走」で集団脱走を行う連合軍捕虜の中核的存在であるバートレット英空軍少佐役では渋いイギリスの男を演じ強烈な印象を残しました。

忘れられない俳優の一人です。
リチャード・アッテンボロー氏の御冥福をお祈りします。

合掌・・・・・

  1. 2014/08/25(月) 19:57:39|
  2. 芸能人
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

映画「人間の証明」の感想


人間の証明

1977年10月公開
原作:森村誠一 製作:角川春樹 監督:佐藤純彌
出演:岡田茉莉子 松田優作 ジョージ・ケネディ ジョー山中 リック・ジェイソン ハナ肇 夏八木勲 坂口良子 竹下景子 三船敏郎 鶴田浩二 伴淳三郎 長門裕之
角川映画最初期の1作だが及第点が付けられる
当時の邦画としては劇場で鑑賞する価値のある作品であった。

うろぱす副船長評価 65点
2014年8月現在YAHOO映画レビュー得点 3.46点

角川映画「人間の証明」が公開されたのは1977年(昭和52年)
「犬神家の一族」に次ぐ角川映画第二作であり日本映画としてはあまり前例のない大規模な宣伝などかなりの話題となった。私は当時中学生であったが学校の教師の一人が反角川主義者で”角川映画はビジネス優先で芸術などではない、こんな映画見なくていい”と授業中に発言していた事を今でも鮮明に記憶している。

しかし、映画好きの私は「人間の証明」を映画館まで見に行ったのだが予想以上に面白くそれまでの”暗く重く面白くない”という日本映画の概念を覆してくれる画期的な作品に思えたのです。

もちろん、私の学友の中にも”角川映画はつまらない”という人間は幾人かいました。
やはり好き嫌いはあるのでしょう。私はその後の「野性の証明」や「戦国自衛隊」、「復活の日」などの角川映画は相応に面白く感じたので角川映画とは相性があったようなのです。

実際のところ昭和40年代後半から50年代にかけては邦画冬の時代であり日本映画で面白い作品なんて稀だった。そもそも映画館で見るのはハリウッド映画のみであり日本映画なんて映画館で見るものではなかった。そんな時代に多くの観客を映画館に動員した角川映画にはそれなりの評価をすべきだろう。

「人間の証明」も脚本には消化不良の部分はたしかにあり突っ込みどころも幾つもある。
しかし、同時期の日本映画と比較して特に悪い、というレベルではない。角川映画酷評論はあまり根拠のない一方的な意見にも思えるのだが・・・・

幾つかのマイナス点は認めつつ「人間の証明」には高評価すべき点もたくさんある。本作で描かれた多くの人間の生き様、複雑に交差する人と人との出会いと分かれの運命、そして臨場感は今見ても引き込まれるものがある。本作では多くの俳優が熱演を見せたがやはり主人公の岡田茉莉子の存在感と個性が素晴らしかった。松田優作も多くの出演作の中でR・スコット監督「ブラック・レイン」と「人間の証明」が彼の代表作と言えるだろう。

黒人青年役で出演したジョー山中は非常に良かった。
母親に捨てられた子の哀愁を見事に醸しだしていた。彼が歌った本作の主題歌は当時大ヒットした。
アメリカ人刑事役のジョージ・ケネディもいい雰囲気を出していた。ハリウッド俳優としては中堅だが超有名なスーパースターよりは彼の様な中堅の方が日本映画の中で違和感のないアメリカ人を無理なく演じられたのではないだろうか。

「人間の証明」では新人時代の坂口良子と竹下景子も出演している。
この映画を見た時点では後に二人が芸能界で大出世するとは想像も出来なかった。テレビドラマ「コンバット!」のヘンリー少尉役のリック・ジェイソンも少しだけ登場しているのは映画ファンの間では有名だ。

  1. 2014/08/23(土) 20:05:35|
  2. 映画
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

映画「天国と地獄」の感想

天国と地獄

1963年3月1日公開
監督:黒澤明
出演:三船敏郎 仲代達矢 香川京子 三橋達矢 佐田豊 石山健三郎 木村功 山崎努 島津雅彦 江木俊夫 志村喬 藤田進 土屋嘉夫 名古屋章 千秋実
黒澤現代劇の最高傑作、私の地元・横浜が舞台なのが素晴らしい

うろぱす副船長評価 100点
2014年8月現在 YAHOO映画レビュー得点 4.52点

私は横浜市民なので黒澤明監督作品「天国と地獄」の舞台が横浜なのがとても嬉しいんです。
本作は昭和38年公開なので当時の横浜の風景や街並がリアルタイムで描写されています。横浜に生きる人々の息ずかいが聞こえてくるかのようです。私の両親が横浜に引っ越してきたのが昭和41年らしいので我が家の人間も横浜市民になる3年前に撮影されているのです。

「天国と地獄」に関しては既に多くが語られてきました。
「七人の侍」や「隠し砦の三悪人」が黒澤時代劇の双璧なら「天国と地獄」は黒澤現代劇の最高峰でしょう。警察と誘拐犯との壮絶な知能戦、企業の中で蠢く腹黒い人間関係、自分の子でない小さな命を救う為に苦悩する三船敏郎演じる主人公・権藤金吾の赤裸々な人間像・・・・

製作公開から半世紀以上を経過した今日でも本作が持つ圧倒的な感動と衝撃、いつまでも消える事のない重く深い余韻は他のいかなる映画をもはるかに凌いでいます。

誘拐犯を演じた山崎努は本作が映画初主演作でもある。
刑事役の名古屋章は当時39歳ぐらい、後のテレビ作品では父親役が多かったが本作では流石に若い。叩き上げのベテラン刑事の”ボースン”を演じた石山健三郎は多くの映画やドラマに出演した名脇役で私のお気に入りの役者でもある。岡本喜八監督の「日本のいちばん長い日」では反乱軍を鎮圧する田中東部軍司令官を演じたがボースンと田中司令官役、この二つの役柄は彼の役者人生でも最高の演技であったろう。

本作で忘れてならないのは権藤金吾の実の息子を演じた江木俊夫だ。
子役時代には「マグマ大使」でも人気を博した。フォーリーブスで元祖男性アイドルの一人となりその地位を不動のものとしたが子役時代の彼は本当に素晴らしい演技と個性で観客を魅了する。江木俊夫の存在感は三船や仲代達矢をも食ってしまうほどなのである。

国鉄の特急「こだま」をチャーターして撮影した身代金引渡しのトリックの件は何回見ても心臓が止まりそうになるぐらいの緊張感である。鉄道マニアにとっても涎が出そうなシーンですがその後に起きた多くの身代金事件で真似されてしまう事になる。

私も「天国と地獄」は大好きな映画であり今までに何回見たか思い出せないほどです。

補足
1)全編モノクロの中で唯一パートカラーで描かれる煙突からピンク色の煙がモクモクと排出されるシーン
世界中の映像作家に絶大な影響を与えた。スピルバーグの不朽の名作「シンドラーのリスト」でもありましたね。

2)山下公園シーンで大型貨物船が旧大桟橋で接岸している様子が映し出される。
私が子供の頃にも同じ様な記憶がある。しかし、新しくなった大桟橋には客船ばかりが接岸しており貨物船の姿は全く見かけなくなった。これも時代の流れだ。

3)この映画で忘れられないのが警察の会議シーン
この映画は夏の設定であるのだが当時は警察の会議室にも冷房などなかったらしく大勢の刑事達が汗びっしょりになっている。この”暑さ”の演出が本作の見所の一つ。この”汗”が昭和30年代を見事に描き出している。

4)「天国と地獄」が公開された1963年3月には戦後最大の誘拐事件と呼ばれた”吉展ちゃん事件”が起きた。
当時の日本人は誘拐事件をテーマにしたシリアスな映画とリアルタイムで進行する凶悪な誘拐事件との関連性をどの様に感じたのであろうか・・・


  1. 2014/08/20(水) 22:23:00|
  2. 映画
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

プロフィール

うろぱす副船長

Author:うろぱす副船長
うろぱす副船長と申します。
以前からYAHOO映画レビューを書かせて頂いておりますがYAHOO映画では過去記事の訂正や加筆・修正が出来ないのでこちらであらたに書き直したいと思っています。

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

自己紹介 (3)
映画 (117)
テレビドラマ (2)
最新映画 (12)
芸能人 (43)
未分類 (5)

カテゴリ

自己紹介 (3)
映画 (117)
テレビドラマ (2)
最新映画 (12)
芸能人 (43)
未分類 (5)

カテゴリ

自己紹介 (3)
映画 (117)
テレビドラマ (2)
最新映画 (12)
芸能人 (43)
未分類 (5)

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR