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うろぱす副船長のYAHOO映画レビューの加筆・修正

右寄り保守系軍事オタクの映画評。感想は辛口ですが映画への愛情の裏返しです

映画「日本沈没」の感想

日本沈没


公開:1973年12月29日
原作:小松左京 脚本:橋本忍 監督:森谷司郎 音楽:佐藤勝 撮影:木村大作
出演:藤岡弘、いしだあゆみ、小林桂樹、夏八木勲、村井国夫、神山繁、島田正吾、丹波哲郎

21世紀になって撮られたリメイク作は最悪だったが・・・・

うろぱす副船長評価 60点
2014年6月 YAHOO映画レビュー得点 3.99点

小松左京原作のベストセラー小説を映画化した昭和48年公開の東宝作品です。
当時は既に邦画冬の時代でしたが「日本沈没」は例外的に大ヒットしました。私は小学生でしたが友人達と映画館に観に行きました。専門家の意見では日本が沈没するなど科学的に在り得ないそうですが「ノストラダムスの予言」と同じで興行的には大成功したと言えそうです。

公開から40年を経過した今日の視点で見れば特撮技術の稚拙さや脚本の消化不良な部分はたしかにあるかもしれないが昭和40年代後半の日本映画界としては最大級の努力をした点を評価したいと思います。主演に藤岡弘を抜擢したのはやはり最高のヒーローだったからだろう。今なら堺雅人を主演にするのと同じ感覚だ。詳しく覚えていませんが「日本沈没」の撮影が始まった時点で「仮面ライダー」第1シリーズは終了していたと思うのでスケジュールに支障はなかったと思います(そういえば藤岡はロケ中に怪我をした事があったな・・・)。

本作でコンビを組んだ森谷司郎、橋本忍、木村大作は後に邦画史上に残る名作「八甲田山」を撮った。「日本沈没」はその習作的な作品でもあった。

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  1. 2014/06/29(日) 12:28:40|
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映画「ヨーロッパの解放」の感想

yoropa1.jpg
ヨーロッパの解放
日本公開:1970年~72年
監督:ユーリー・オーゼロフ

戦争映画ファンで本作を観ていない人は皆無だろう。無数のT34が戦場を疾走し敵陣に殺到する!
うろぱす副船長評価 100点
2014年6月現在 YAHOO映画レビュー得点 
1,2部 4点
3部   4.67点
4,5部 2.67点

1960年代は欧米で多数の超大作戦争映画が製作されました。ハリウッドでは「史上最大の作戦」、「大脱走」、「バルジ大作戦」、「トラ!トラ!トラ!」、イギリスでも「空軍大戦略」が撮られました。いずれも多額の製作費が投入され軍の全面協力もあり製作公開から50年を経過した今日の視点で観てもいずれ劣らぬ名作ばかりです。そして同時期、ソ連でも映画史上に残る空前絶後の戦争映画の巨編が製作されました。それが「ヨーロッパの解放」です。

ハリウッド作品にはない戦争の現実を直視する真摯な製作態度、ソ連軍全面協力の圧倒的な迫力、「ヨーロッパの解放」こそ映画史上最高の戦争映画であると断言出来る


「史上最大の作戦」や「バルジ大作戦」が歴史的史実をベースにした作品でありスケールも大きく娯楽的要素も十分加味した戦争映画の名作である事に疑いの余地はない。しかし、これらハリウッド戦争映画はヒーローであるアメリカ軍の超人的活躍のみに重点が置かれた演出である事も事実で戦争の実像に迫った作風ではなかった。ハリウッド戦争映画はあくまで”ハリウッド映画”なのである。

それに比べて「ヨーロッパの解放」はソ連国策映画でありソ連の正当性を主張しソ連軍将兵の英雄的戦闘を伝える内容であると同時に戦争の悲惨な現実を直視し激動の時代に翻弄されながら生きた多くの無名の人々の声を代弁するかのような作風になっている。このあたりのセンスは自由陣営と共産陣営の差とかいう政治的な問題ではなくロシア人特有の文学的思考によるものではないだろうか・・・

たとえソ連共産党が主導した国策映画であってもロシア人が描いた戦争映画はハリウッドのような爽快感溢れるスッキリとした娯楽映画とはならないのだ。それは「鬼戦車T34」や「僕の村は戦場だった」など他のソ連製戦争映画にも共通している。

何と「ヨーロッパの解放」ではソ連軍にも卑怯者や裏切り者がいた事、敵であるナチスドイツ軍にも勇敢な軍人がいた事を公平に描いている


「ヨーロッパの解放」を見ていて驚かされるのはスケールの大きさや戦争シーンの迫力だけではない。
ソ連国策映画でありながらソ連軍にも卑怯者や祖国を裏切った反逆者がいた事、敵であるナチスドイツ軍にも勇敢な軍人がいた事を公平な視点で描いているのだ。反乱軍に幽閉されていたムッソリーニを救出したナチス特務部隊の指揮官であるスコルツェニーSS大尉も有能で忠誠心に満ちた軍人として描いている。欧米で憎悪の対象であるナチス親衛隊将校を冷静な視点で描くなんて欧米の戦争映画では考えられない演出だ。
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これもロシア人の文学的なセンスなのであろう。もちろん、ハリウッド映画でも「バルジ大作戦」や「眼下の敵」ではナチスドイツ軍が立派な軍人として描かれていた。但しあくまでドイツ国防軍将校の話でありユダヤ系の力が強いハリウッド映画ではSS将校を正当に描くなんて絶対に有り得ないだろう。いずれにせよソ連国策映画には”公平な視点”を持っている事が理解出来るエピソードである。

「ヨーロッパの解放」は独ソ戦の分岐点となったクルスク戦車戦からベルリン陥落までが描かれている。
映画は5部構成(日本では4部構成で公開)。画面に広大なロシアの戦場が映し出され無数のT34戦車が登場、砲撃しながら敵陣に殺到するシーンは正に息を呑み言葉すら失うほどの圧倒的迫力であり”大祖国戦争”の一端を垣間見る。

当時のハリウッド戦争映画ではナチスドイツ軍の戦車役には現有米軍戦車に鉄十字マークを付けてお茶を濁していたが「ヨーロッパの解放」ではT-44戦車を「ティーゲル」戦車ソックリに改造するなど考証面でもハリウッド映画以上の拘りを見せている。

もちろん本作がソ連国策映画である事実も認識させられる。
独ソによるポーランド分割占領やカチンの森虐殺、1944年8月に起きたワルシャワ蜂起の際、スターリンが事実上見殺しにした歴史事実には全く触れていない。しかし、その点を差し引いても「ヨーロッパの解放」が映画史に残る傑作である事実にはほとんど影響しない。本作には高い評価を付けたいと思います。
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旧ソ連の恥部と言うべきカチンも森事件やワルシャワ蜂起見殺しには何ら触れていない。それどころかソ連軍はポーランドの解放者として描かれている。ロンドンに亡命していた自由ポーランド政府の要人やワルシャワ蜂起に参加した兵士は共産主義の敵としてソ連軍により逮捕されたり粛清の対象となったが「ヨーロッパの解放」を見ると史実とは全く異なる描写となっている。

補足
1)登場する俳優は実在の人物によく似ている
532874a7d6befd7fda4571792349fb35[1]ソ連映画なので俳優は知らない人ばかりだが実在の人物によく似ている。
ジューコフ元帥も雰囲気バッチリだ


2)T-44戦車を改造した「ティーガー」
7854_600[1]
「ヨーロッパの解放」ではT-44戦車を改造した「ティーガー」が登場する。
ご覧の通りの素晴らしい完成度であり本物の「ティーガー」の雰囲気を見事に再現している。米軍現用戦車で誤魔化しているハリウッド戦争映画はソ連国策映画の爪の垢を煎じて飲むべきだろう。



  1. 2014/06/22(日) 21:20:20|
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映画「聯合艦隊司令長官 山本五十六 太平洋戦争70年目の真実」の感想

聯合艦隊司令長官 山本五十六 太平洋戦争70年目の真実

2011年12月23日公開
監督:成島出
出演:役所広司 榎本明 柳葉敏郎 吉田栄作 阿部寛 椎名桔平 伊武雅刀 玉木宏 香川照之 瀬戸朝香 田中麗奈 原田美枝子 中原丈雄

発想も歴史認識も貧弱そのもの、反戦平和思想なら職業軍人なんかになりはしない。作品全体にも緊迫感や戦争の現実など全く感じられず大いに失望させられた映画だった。

うろぱす副船長評価 40点
2014年6月現在 YAHOO映画レビュー得点 3.62点
この映画、結論を先に書けば”どうせ、今までと同じ歴史認識で山本五十六を悲劇の英雄としてしか描かない凡作だろう、恐らく昭和43年の東宝映画「連合艦隊司令長官 山本五十六」の焼き直しに過ぎない”という私の悲観的予想を見事なまでに的中(?)させてくれた不満続出、文句だらけの作品でした。

実は三船敏郎が山本五十六を演じた昭和43年作(以下:三船版)も名作揃いの東宝戦争映画の中ではあまり出来がいい作品とは言えない。何が何でも山本五十六を”素晴らしい人間、偉大なリーダー”として描こうとしているので至る所に矛盾だらけの演出が垣間見えた。ミッドウェイ海戦やガダルカナル島攻防戦での惨敗に関しても海軍の最高責任者だった山本の責任を回避(曖昧にする、と言うべきか)するかのような演出まであった。

そもそも実在の山本は自ら海軍兵学校を志願したエリート職業軍人です。その山本が反戦平和思想から対米戦争に反対するなんてどう考えても無理な設定なのです。2011年に公開された成島出監督「聯合艦隊司令長官 山本五十六 太平洋戦争70年目の真実」(以下:役所版)は三船版の事実上のリメイク作なので同様の設定であり思想的発想からも既に無理な設定の映画と酷評せざるを得ません。

むしろ戦争の記憶が残っていた時代に製作された三船版のほうが数段マシな演出がなされてる。
21世紀になってから製作された役所版は三船版より大幅に後退した演出が幾つもあった。私が特に注目したのは真珠湾攻撃を企画した際、山本が機動部隊指揮官である南雲中将に”市街地は攻撃するなよ”とわざわざ忠告するシーンであった。

”市街地は攻撃するなよ”、こんな事は軍事の常識であり聯合艦隊司令長官が機動部隊指揮官にいちいち忠告するなんて在り得ない

このシーンは山本の平和愛好精神、人間性の素晴らしさを殊更強調するためのものだろうが軍事的に見れば当然すぎて絶対に在り得ないんです。戦争では自分にとってより脅威の高い目標から優先して攻撃するのが常識。真珠湾攻撃で日本軍が艦艇や航空基地を集中攻撃し海軍工廠や燃料タンクを攻撃しなかった事に対して”攻撃一点張りで戦略的視点には欠如した日本軍の体質を露呈した”と批判する意見が一部にある。

しかし、この指摘は軍事を知らない素人の妄言でしかない。
何故なら海軍工廠や燃料タンクはその時点で攻撃しなくても味方にとって直接的脅威にはならないからだ。しかし、艦艇や航空機を見逃せば友軍にとり直ちに直接的脅威となる。真珠湾攻撃で日本軍が工廠や燃料タンクを攻撃しなかったのには十分な軍事的整合性がある。

まして民間地域や市街地などは何らの脅威でもなくそこを攻撃するのは無駄以外の何物でもない。市街地を攻撃するぐらいなら軍事目標を反復攻撃するのが戦争の常だ。戦争末期、米軍は日本本土への無差別爆撃を行ったがそれは日本の軍事力が大きく喪失していたから。味方が絶対的優性となり敵兵力の脅威がなくなった時点だからこそ市街地に対する無差別攻撃が可能となる。

真珠湾攻撃は軍事的には完全に成功した


もうひとつ、三船版にはなかったが役所版にあるシーンが存在する。
それは山本が言う”真珠湾攻撃は失敗だった”というセリフだ。本来、真珠湾攻撃の目的は米太平洋艦隊を緒戦で痛撃し少なくとも半年程度行動不能としその間に南方資源地帯を占領するにあった。実際、戦争開始後約半年は日本軍の作戦は極めて順調に推移した。真珠湾攻撃は現在の視点で見ても完全に成功だったと評価出来るし当時の海軍首脳もそう考えていた。
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(写真上)真珠湾で撃沈されたアメリカ海軍戰艦「アリゾナ」
真珠湾攻撃では空母こそ不在で撃ち漏らしたが「アリゾナ」以下所在する戦艦8隻全てを撃沈破し航空機188機を撃墜若しくは地上で完全に破壊、米軍の戦死者は2400名に達した。僅か一日で米軍がこれだけの損害を被った例は米軍史上(第二次対戦に限らず)、他に存在しない。これに対して日本側の損害は戦死者64名、航空機29機喪失、特殊潜航艇5隻未帰還という僅かなものだった。これにより開戦後約半年間、日本軍の作戦は極めて順調に推移し初期の目的であった南方資源地帯の確保は達成された。にも関わらず真珠湾攻撃が失敗だった、というのは何を根拠にしているのだろうか・・・?


この三船版にはなく役所版にある二つのシーンを見ても役所版が三船版以上に山本五十六の”反戦平和思想の持ち主、善人化”を強調した映画である事が理解出来る。そしてそれは前述したとおり史実の山本五十六像とは全く異なる虚像を作り上げてしまった、と言える。

太平洋戦争70年目の真実、ではなく70年経っても真実が理解出来ない、が実態だろう

実在の山本五十六(米内光正や井上成美も同じ)が対米戦争に消極的だったのは国力が貧弱な日本が強国アメリカと戦っても勝算はない、という軍人としての冷徹な計算によるものだ。戦後70年も経ってそれぐらいの事も理解出来ないのか・・・、本作のサブタイトル”太平洋戦争70年目の真実”はあまりにお寒い歴史認識だと謂わざるを得ないだろう。

演出もメリハリなく作品全体に締りがない。
だらだらと2時間が過ぎていく。戦争映画なので迫力ある戦闘シーンが命のはずだが予算不足からか全くの消化不良、軍事マニアの支持など得られない。役所広司以下、配役陣も貫禄不足にミスキャスト。榎本明の米内光正や阿部寛の山口多聞も実在の人物のイメージとはかけ離れていた。特に酷いのが南雲忠一を演じた中原丈雄。ミッドウエイ海戦の敗北を山本に慰められメソメソ泣くなんてとても軍人の姿には見えない。

  1. 2014/06/15(日) 22:51:12|
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映画「サンダカン八番娼館 望郷」の感想


サンダカン八番娼館 望郷

公開:1974年
監督:熊井啓
出演:栗原小巻 高橋洋子 田中絹代 田中健 水の江滝子 小沢栄太郎

うろぱす副船長評価 90点
2014年6月現在 YAHOO映画レビュー得点 4.43点

ノンフィクション作家、山崎朋子の原作を社会派監督・熊井啓が撮った昭和49年東宝作品です。
作品の雰囲気は松竹の香りがするのですが本作は東宝作品です。東宝でもこんな映画を撮っていたのか、と文学的視点から見ても特異な映画と言えます。

「サンダカン八番娼館 望郷」は山崎朋子のノンフィクション作品を原作としています。
もちろん、映画なので脚色や誇張された部分はあると思いますが戦前・戦中の日本の貧しい女性の置かれた悲惨で絶望的な状況に絶句させられます。

日本では昭和34年に売春防止法が施行され少なくとも法律上は売春する事もさせる事も禁止さました。
しかし、それ以前には公に売春しても法的に罰せられる事はなく多くの貧しい女性達が売春していました。もちろん、高給を得るために自ら売春した女性もいたと思いますが多くは女衒と呼ばれる売春斡旋業者に半ば騙されたり借金のかたに本人の意思に反して売春を強制されていた。

本作は”からゆきさん”として東南アジアで売られていった貧しい女性の姿を生々しく描き観る者に衝撃を与えます。
表現は悪いのですが当時の貧しい女性に人格や人権など全くなく単なる”肉欲処理機”でしかないのです。

今日では”からゆきさん”のことなどほとんど語られることもなく歴史の片隅で忘れ去られてしまっています。
「サンダカン八番娼館 望郷」はその消え去った歴史の負(恥?)の部分を強烈に炙り出しています。

”からゆきさん”の晩年を演じた田中絹代はもちろん素晴らしい演技なのですが彼女の若い時代を演じた高橋洋子の個性と存在感は圧倒的で多くの名もなき”からゆきさん”達の代弁者であるかのようです。

本作はあくまで貧しい女性の視点で撮られた映画であり出演する男達は性欲・金銭欲に駆られた情けない生き物としか描かれていません。誰一人、マシな男が登場しないのも本作の大きな特徴です。”からゆきさん”達の視点で見れば男なんて信用出来ない獣以下の鬼畜でしかなかったのも事実なのでしょう。

ところで所謂、従軍慰安婦との関係について


「サンダカン八番娼館 望郷」の感想を書いた以上は所謂、従軍慰安婦に関して触れなくてはならないでしょう。
私は歴史認識や政治思考は保守的な人間です。従って韓国や日本の左翼勢力が主張している”軍部や官憲が朝鮮人女性を本人の意思に反して従軍慰安婦として強制連行した”という見解には全く賛成出来ません。戦前・戦中の日本で貧しい女性達が居た事は紛れもない史実だが、この慰安婦強制連行説はその史実とは全く別次元の史実を捻じ曲げた捏造であり反日攻撃の道具とでしか思えないのです。

既にこの件に関しては日本政府も再三の調査の結果、”軍部や官憲が朝鮮人女性を本人の意思に反して慰安婦として強制連行した事実はない”と公表しています。仮に強制連行した、と主張するなら日本政府の公式見解を否定する事になります。慰安婦強制連行を主張するなら誰もが納得する証拠を明示するべきです。

だからといって当時の日本政府や社会に全く責任がない、というつもりはない


誤解してほしくないのですが、私は”軍部や政府が直接関与していない以上、当時の日本政府や社会には全く責任がない”と主張するつもりは毛頭ありません。軍部や官憲が直接関与していなくても当時の日本が貧しい女性達を救う事が出来ず結果として彼女達が売春せざるを得なかった状況に追い込んでしまったのは歴史の史実だからです。よくよく考えてみれば戦前の日本には女性の参政権もなかった。人口の半数を占める女性の人権を認めない・制約する社会には限界がある、と言う事でしょう。

「サンダカン八番娼館 望郷」は歴史の負(恥)の部分を学ぶ上で教科書的な作品です。


  1. 2014/06/09(月) 22:13:31|
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映画「マーシャル・ロー」の感想


マーシャル・ロー

日本公開:2000年4月
監督:エドワード・ズウィック
出演:デンゼル・ワシントン アネット・ベニング ブルース・ウィリス トニー・シャルーブ サミ・ブアジラ

緻密な調査と繊細な脚本力で社会派映画の佳作と評価、911テロとその後のイラク戦争への流れを予感させるような内容に戦慄させられる

うろぱす副船長評価 70点
2014年6月現在YAHOO映画レビュー得点 3.65点
本作の邦題「マーシャル・ロー」は非常に上手く設定された邦題です。あまりに良い出来なので私も最初は原題も「Martial Law」だと思い込んでいたのですが実際の原題は「The Siege」なので日本語に直訳すれば「包囲」です。

この映画はイスラム系によるテロを口実にアメリカ軍の一部が事実上のクーデターを起してニューヨークを封鎖する内容なので英語圏のニュアンスから見れば”戒厳令”を意味する「Martial Law」よりは「The Siege」の方が映画の本質をよく表現出来ていたと思います。

本作が全米公開されたのは1998年11月

多くの映画ファンが指摘しているように「マーシャル・ロー」は2001年9月11日に起きたアメリカ同時多発テロ事件を予想するかのような内容であり公開から15年以上経過した今日の視点で観ても戦慄させられるような思いです。劇中ではFBIがテロ容疑者を分析するシーンがありますがその容疑者の中の一人に何と911テロの首謀者であるオサマ・ビンラディンの写真も登場します。監督も脚本家も細かい点まで十分調べて撮影に入ったようです。この真剣な製作態度が本作に深い迫力を与えています。

「マーシャル・ロー」は単なる思い付きや安易な態度で製作された映画でなく当時の国際情勢やアメリカの置かれた立場を十分に熟慮して撮られた社会派映画の佳作と評価します。

この映画で特に注目されるのはイスラム原理主義を一方的な敵として描いてはいない点です。
それどころかテロの脅威を利用してクーデターを企てる米軍将軍の存在を描いています。イラクの大量破壊兵器の存在を根拠にイラク戦争を始めたブッシュ政権を暗示するような描写なのです。「マーシャル・ロー」は911テロを予想したかのような作品であると同時にイラク戦争を始めたブッシュ政権を暴走を暗示したかのような作品でもあります。因みにズウィックは湾岸戦争をテーマにした「戦火の勇気」で米軍の影の部分を描いており決して”アメリカ万歳”にはならない彼の冷静な視点はなかなか他のハリウッド監督にはないものがあります。

私はエドワード・ズウィックの映画はあまり好みではないのですが「マーシャル・ロー」は相応に評価したい映画です。


  1. 2014/06/02(月) 20:36:57|
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うろぱす副船長

Author:うろぱす副船長
うろぱす副船長と申します。
以前からYAHOO映画レビューを書かせて頂いておりますがYAHOO映画では過去記事の訂正や加筆・修正が出来ないのでこちらであらたに書き直したいと思っています。

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