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うろぱす副船長のYAHOO映画レビューの加筆・修正

右寄り保守系軍事オタクの映画評。感想は辛口ですが映画への愛情の裏返しです

映画「日本のいちばん長い日」


日本のいちばん長い日
1967年公開 監督:岡本喜八
主演:三船敏郎 山村聰 笠智衆 戸浦六宏 加藤武 宮口精二 加東大介 島田正吾 土屋嘉男 田崎潤 平田昭彦 黒沢年男 中丸忠雄 井上孝雄 高橋悦史 志村喬 佐藤允 伊藤雄之助 小泉博 小林桂樹 加山雄三 天本英世 新玉三千代
昭和20年8月15日の意味を問う歴史的傑作
これを超える邦画を私は知らない


うろぱす副船長評価 100点

2013年8月現在 YAHOO映画レビュー得点 4.66点(投稿者数 66名) ファン数 53名
今の日本では国民の約3割が8月15日の意味を知らない

最近の世論調査だと現代日本人の約3割が8月15日の意味を知らないそうです。
もっともアメリカでも12月7日が何の日か知らない人もいるみたいなので第二次大戦が遠い歴史の過去になっている事は洋の東西を問わない感じです。そんな、歴史にあまり関心がない方に是非、観て欲しい邦画史上の傑作があります。それが昭和42年に公開された岡本喜八監督の「日本のいちばん長い日」です。

日本がポツダム宣言の無条件受諾を決定し昭和天皇の玉音が放送された昭和20年8月14日から15日までの24時間を描いた傑作で邦画史上でも極めて知名度の高い作品。

昔は毎年8月15日には必ずテレビ放映されていた。私もテレビではじめて「日本のいちばん長い日」を観たが大学生の頃、東京の名画座の戦争映画特集ではじめて劇場で鑑賞した。その時の上映作品は「連合艦隊司令長官 山本五十六」、「太平洋奇跡の作品 キスカ」、そして「日本のいちばん長い日」の3作であった。

「山本五十六」と「キスカ」の監督は丸山誠治、同じ太平洋戦争を描いた東宝作品でも岡本喜八とは作風が決定的に違っていた。丸山誠治作品では崇高な軍人が描かれていたが「日本のいちばん長い日」では軍の暴走がこれでもか、というぐらい描かれる。両監督の思想の違いがはっきり分かって興味深かった。

あの夏の暑さを表現する汗、そして燃料枯渇を表現した自転車


この映画ではあの夏の暑さを表現するもとのして”汗”が効果的に使われている。閣議でも陸軍省でも近衛師団司令部でもエアコンなんかない時代だ。まして燃料も枯渇した状況で冷房用の燃料なんかなかった。同じ様に全てが枯渇した昭和20年8月の状況を表すものとして本作では”自転車”が使われる。陸軍省のエリート将校でさえ移動手段として車もオートバイも使えず自転車で移動する。汗と自転車、この二つが絶望的状況に追い込まれた当時の日本を見事に描いている。

映画では陸軍省があった市ヶ谷台(現:防衛省)から近衛師団司令部(現・東京近代博物館)までを自転車で移動している。実は以前、同じ区画を自転車で走ってみた。市ヶ谷から靖国神社方面はかなり急な坂があり自転車で走行するのはかなり大変だ。

本作の舞台となった20年8月14日から15日はもはや戦局は日本にとって絶望的であり国民も一般の兵士の士気も低下していた。それでも天皇の意思に反して戦争継続を主張する青年将校たちの行動には保守系の人間がみてもとても賛同は出来ないだろう。

では「日本のいちばん長い日」は当時の軍を批判する左翼系の映画だったのか・・・
しかし、それは違う。たとえやり方が強引で無謀でも天皇の玉音放送を阻止しようとする青年将校たちの姿は純粋で国を想う精神に満ち溢れているのだ。左翼系監督の山本薩夫が撮った「戦争と人間」は日本軍国主義の侵略を描いた。この2作は全く異なる歴史観なのである。

忘れられない配役陣


天皇の決断を受け入れる阿南陸軍大臣(三船敏郎)、田中東部軍司令官(石丸健二郎)、森近衛師団長(島田正吾)は大人の風格だ。

・終戦の詔書の内容に関しての阿南陸相と米内海相との対立
「日本のいちばん長い日」の前半最大の見せ場は終戦の詔書の内容を巡る阿南陸相と米内海相(山村聰)が対立するシーンだ。原案の”戦線非ニシテ”を阿南陸相が”戦線好転ゼズ”に訂正する事を主張する。実際の玉音は阿南陸相の主張通り”戦局好転セズ”となった。この映画を観なければ知らなかった歴史の真実だ。

・青年将校の暴走を抑えた田中東部軍司令官
青年将校の暴走を抑えた田中東部軍司令官を演じた石丸健二郎は流石の存在感であった。石丸健二郎は黒澤明の「天国と地獄」で現場叩き上げの刑事を熱演した。忘れられない名脇役の一人だ。

・森近衛師団長を演じた名優・島田正吾
本作で島田正吾は青年将校の殺害される森近衛師団長を演じた。島田正吾は日米合作の超大作「トラ!トラ!トラ!」では在米日本大使・野村吉三郎を演じている。


もっとも強烈な印象を残す黒沢年男演じる畑中少佐。しかし、実在の畑中少佐は紳士だった


「日本のいちばん長い日」は当時の東宝俳優陣総出演のオールスターキャストだった。
その中でもいちばん強烈な印象を残したのは戦争完遂を主張する青年将校の中でも特に強硬派の畑中少佐を演じた黒沢年男だ。今でこそ”いいオヤジ”の代表格である彼だが若い頃はこんな強烈な役柄を演じていたのだ。ところで本作での畑中少佐はガチガチの軍国主義イメージだが実在の畑中少佐はもの静かで紳士的だった言う。

黒沢年男が演じたイメージが強すぎるのだがここはあくまで映画での演出であり史実は必ずしもそうではなかった、と観客側も謙虚に歴史を考える必要がありそうだ。「日本のいちばん長い日」は名作だが”演出された映画”である事も事実なのだ。

12時間後の戦争終結を知らず埼玉県児玉基地から特攻出撃する陸海混成第二〇七飛行集団


昭和天皇の玉音(終戦の詔書)が宮中で録音される中、同時刻に埼玉県児玉基地から12時間後の戦争終結を知らず陸海混成第二〇七飛行集団が特攻出撃する。地元の人々の見送りの中、ある隊員は笑顔で、別の隊員は悲壮な覚悟で出撃していく・・・。あと少し天皇や軍・政府の決断が早ければ彼らは死なずに済んだのに、と誰もが思う。そうすれば彼らは戦後日本の復興にどれだけ貢献出来たのか・・・、何とも遣り切れない。この児玉基地の司令官・野中大佐を演じているのは名脇役の伊藤雄之助だ。


岡本喜八の声を代弁した徳川侍従


青年将校の暴走を描きつつも軍人の純粋な精神も描いた「日本のいちばん長い日」
岡本喜八の本心は何処にあったのか・・・?

それは玉音版を捜索する近衛兵とその在り処を隠した徳川侍従(小林桂樹)のやり取りある。

近衛兵・・・”貴様、録音版の在り処を知っているだろう”
徳川侍従・・”知るもんか”
近衛兵・・・”こんな奴、軌ってしまえ”
徳川侍従・・”斬りたければ斬れ、しかし何にもならんだろう”
近衛兵・・・”貴様なんか斬っても刀の錆、その代わり日本精神のあり方を教えてやる”
徳川侍従・・”日本精神? 君達だけが国を守っているのではない。我々国民が一人一人力を合わせなければ”
徳川侍従、近衛兵に殴られる

このシーンこそ岡本喜八監督がこの映画でいちばん訴えたかった点だろう。


正視出来ない近衛師団長殺害と阿南陸相自決シーン


重厚で緊迫しシーンの連続である「日本のいちばん長い日」だが最も衝撃的なシーンが畑中少佐と黒田大尉(中谷一郎)が近衛師団司令部で森師団長と白石中佐を殺害するシーンだ。また、責任を取って阿南陸相が自決するシーンも戦争を知らず平和に慣れた現代日本人には正視出来ないほどの凄惨さだ。


私は映画評論は非常に辛口なんですが、岡本喜八監督「日本のいちばん長い日」だけは100点ですね。
正直なところ、邦画では「七人の侍」や「隠し砦の三悪人」をも上回る完成度

補足
「日本のいちばん長い日」には原型となった映画がある。
昭和29年に公開された新東宝「日本敗れず」という作品である。「日本のいちばん長い日」が公開される13年前の古い映画なのだがセリフや演出など「日本のいちばん長い日」に相当大きな影響を与えた事が理解出来る。「日本敗れず」では全編にナレーションが入るがその口調も「日本のいちばん長い日」でナレーションを担当した仲代達矢の口調ソックリであった。


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  1. 2013/08/15(木) 19:25:33|
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映画「パールハーバー」の感想

パールハーバー

日本公開:2001年7月
製作:ジェリー・ブラッカイマー 監督:マイケル・ベイ
主演:ベン・アフレック ジョシュ・ハートネット ケイト・ベッキンセイル マコ岩松

醜い日本蔑視表現はハリウッドの悪しき伝統と証明するような反日映画
それでも軍人の使命感は真面目に描いており萌え系化した「ローレライ」よりは数段マシ


うろぱす副船長評価 25点

2013年8月現在YAHOO映画レビュー得点 2.41点(投稿者数 81名) ファン数 162名

ハリウッド映画の歴史はアジア蔑視の歴史でもあります。
アジアや日本を蔑視し西欧キリスト文明の一方的優越を描いたハリウッド映画は数知れない。アジアを描いたハリウッド映画で日本人が見ると滑稽だったり首を傾げたくなるような描写を度々目にするが単に考証が甘い、というレベルではなく根底にアジアに対する優越意識が働いていて意図的にあからさまなアジア蔑視表現になっている。それが事実とは大きく異なっていても西欧文明が優越に描かれていれば白人たちにはどうでもいいのだ。

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映画「パールハーバー」に登場するアメリカ軍人はイケメン揃いで凛々しく祖国愛に満ちた理想的な最優秀民族として描かれている。日本人は劣等民族としか描かれておらず、これではナチスドイツの宣伝映画と同じだな・・・(呆

「パールハーバー」はアジア・日本蔑視作の典型


2001年に公開された「パールハーバー」はそんなアジア・日本蔑視が悪しき伝統であるハリウッド映画の典型と言える戦争映画であった。題名の通り日本軍の真珠湾攻撃をテーマにしているが低俗な男女のラブロマンスを描いたり時代考証がデタラメだったりとアメリカでも評価はかなり低かったようだ。もちろん、日本人が見れば日本蔑視の演出はどうにも我慢ならない。本作の日本公開に先立ちジェリー・ブラッカイマーとマイケル・ベイが来日して”日本でもこの映画を愛して欲しい”とコメントした。

はぁ~、こんな醜い反日映画、誰が愛するんだよ~!!!


この映画の日本蔑視の表現は既に多くの方が指摘されているのでここでは詳しくは書きません。もし、ブラッカイマーとマイケル・ベイの二人が本当に「パールハーバー」を日本の観客が受け入れると考えていたのなら無知もいいところだ。

仮に「パールハーバー」がアメリカの多くの観客に評価されたなら背筋が寒くなるところだが前述したとおり本作はアメリカでも酷評散々で最低映画賞にもノミネートされたのだ。

大半のアメリカ人には日本に対する良識があったようであり少し安心した。もっともこの映画はアメリカ国防総省全面協力で撮影されプレミア公開は米空母艦上で行われた。
USS_Constellation_in_Pearl_Harbor_Movie[1]
(写真上)映画「パールハーバー」撮影中のアメリカ海軍空母「コンステレーション」
飛行甲板上には本編に登場するB25「ミッチェル」が見える

おいおい、ペンタゴン。本当に大丈夫なんだろうな・・・


と、本当に酷い映画なのだが本作には評価すべき点も少しはある。
最も評価出来るのは祖国のために戦うアメリカ軍人の精神は真面目に描いている点だ。たとえ男女のラブロマンスを挿入してもハリウッド映画は戦争映画製作にあたり守るべき一線はしっかりと守っている。これに比べて邦画の「ローレライ」は軍人の使命感なんて全く無視、完全に萌え系化されており見るのも苦痛なぐらいの駄作となってしまった。少なくとも「パールハーバー」は「ローレライ」に比べればはるかにマシなのである。

それでも日本軍搭乗員の軍人らしい凛凛しい姿は評価したい


日本軍の描写も酷いものばかりではなかった。
私が評価したいのは真珠湾攻撃に向かう日本軍搭乗員の軍人らしい凛凛しい姿、鋭い表情であった。「ローレライ」に登場する役者なんてニヤニヤして締まりのない表情でとても軍人には見えなかった。

補足
1)ベン・アフレックは出演作は多く興行的にもヒットしているが主演作にはあまり高い評価が付いていない。しかし、映画監督としては非常に優れた才能の持ち主であることは誰もが認めるところであり「アルゴ」では遂にオスカー作品賞まで受賞した。失礼ながら「ハールハーバー」を見た頃はこの人がオスカーを取るなんて想像も出来なかった。

2)ジョシュ・ハートネットも本作ではイマイチな感じだったがリドリー・スコット監督の戦争映画「ブラックホーク・ダウン」ではタフな海兵隊員役を熱演した。監督が違うと俳優もここまで変るものなのか。

3)ヒロインのイヴリンを演じたケイト・ベッキンセイルは本作でブレイクしその後も作品に恵まれた。売れてもヌードを披露してくれるなどサービス精神旺盛だ。

4)山本五十六を演じたマコ岩松は「パールハーバー」にはかなり厳しい評価をしたようだ。
恐らく撮影中からかなりの違和感を感じていたはずだ。マコ岩松はスティーブ・マックイーン主演の「砲艦サンパプロ」にも出演しているベテランだがアジア系アメリカ人が見ても「パールハーバー」の時代考証は見るに耐えないレベルだったのだ。





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  1. 2013/08/12(月) 19:32:33|
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映画「ローレライ」の感想

rorya.jpg

ローレライ

2005年3月公開 監督:樋口真嗣
主演:役所広司 妻夫木聡 柳葉敏郎 堤真一 香椎由宇
戦争と軍隊の実像を完全無視した萌え系作品
これでは酷評されるのも当然だ


うろぱす副船長評価 8点
 
2013年8月現在 YAHOO映画レビュー得点 2.38点(投稿者数 268名) ファン数130名
2005年に公開された東宝映画「ローレライ」の評価はどの映画サイトを見ても非常に厳しい。
特に監督である樋口真嗣に批判が集中しオタク監督などという在り難くないニックネームまで付けられてしまっている。実は私も「ローレライ」に対しては相当に憤慨した一人である。私が憤慨したのは作品の評価そのものより東宝の製作態度にあった。

昭和30年代から40年代にかけて東宝は8・15シリーズと呼ばれる戦争映画を撮っていた。「太平洋奇跡の作戦 キスカ」や「日本のいちばん長い日」など戦争の現実を直視した鋭い演出であり21世紀の視点で観ても感動する素晴らしい作品ばかりであった。

ところが「ローレライ」はその東宝が製作したとは思えないほどの稚拙で低レベルな映画であったのである。
はっきり言って私は「ローレライ」を監督した樋口真嗣はあまり好きなタイプの映像作家ではない。「ローレライ」製作発表時に彼は”女性を潜水艦に乗せたい”とコメントした。このコメントこそが本作の本質を皮肉にも見事に表現している。

彼が監督した「日本沈没」や「隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS」でもそうであったのだが樋口真嗣の映画製作における最重要コンセプトは萌えなのである。災害も戦争も樋口作品では萌えを演出する為の背景でしかない。そもそも萌えなんて一部のオタクには通用しても大多数の観客は生理的に拒否反応するに決まっている。そんな事ぐらい企画段階の会議で議論に上がらないのだろうか。

「ローレライ」では終戦末期の緊迫した潜水艦の艦内でさえ萌え系演出されてしまった。国家の命運がかかり生きるか死ぬかの戦場なのに緊迫感ゼロ、軍事的考証も無視、激動の時代を生きた人々への冒涜、これでは多くの戦争映画ファンから酷評されても仕方ない。

女性が登場すること自体は萌え系戦争映画ではない。


「ローレライ」では超能力を持った女性(香椎由宇)が日本海軍の潜水艦に乗り込む。
もちろん、女性が登場するだけで戦争映画が萌え化するわけではない。戦時中の昭和14年、海軍が製作協力した国策映画「上海陸戦隊」という作品があった。この映画では当時の人気女優・原節子が出演した。武骨な海軍兵士が主人公の作品の中で場違いなほど原節子は垢抜けた美女として描かれていた。しかし、「上海陸戦隊」は国の為に戦う海軍陸戦隊の勇戦こそが主題であり決して萌え系ではない。そもそも人類の半数は女性なのだから硬派戦争映画にだって美女が登場しても決して不自然ではない。

かつて東宝が製作した8・15シリーズでも多数の人気女優がヒロインを演じたが主題はあくまで戦争と軍隊であった。当時の東宝は戦争映画製作に関して一線を守っていた。私も戦争を全く知らない世代であるが東宝8・15シリーズのリアルな描写で戦争の凄惨な実像を垣間見ることが出来たのだ。

戦争を知らない世代に戦争の記憶を伝える、これこそが戦争映画の使命ではないのか。

ところが「ローレライ」は萌え系に描く事が主題の為、戦争の実態や戦場の緊迫感、軍隊の規律なんて全く無視されてしまっている。リアルな戦場描写を期待していた観客は全く面食らってしまうのである。戦争を知らない若い世代は歴史を勘違いしてしまうかもしれない。

監督にも脚本家にも少し反省して欲しいね。
これは酷すぎ。少なくとも本作の関係者は戦争や軍隊を真剣に研究しているとは到底思えない。

補足)
「ローレライ」には原型となった戦争映画がある。
昭和30年代に製作された「潜水艦イー57降伏せず」という古い戦争映画である。この作品は戦争末期、日本海軍の潜水艦がスペイン領カナリー諸島に某国外交官を輸送する、、という内容なのだがその外交官の娘も一緒に潜水艦に搭乗する。今日ならいざ知らず昭和30年代にすでに潜水艦に女性を乗せる、という発想が邦画界にあったことには驚かされる。ただ、当時は戦争の記憶も生々しく軍隊の在り方などは非常に気を使った演出であり違和感などは感じない。やはり時代が過ぎて記憶が曖昧になると戦争でさえファンタジー化されてしまうのか・・・


テーマ:映画レビュー - ジャンル:映画

  1. 2013/08/10(土) 23:29:25|
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映画「SPACE BATTLESHIP ヤマト」の感想


2010年12月公開 監督:山崎貴 脚本:佐藤嗣麻子
出演:木村拓哉 メイサ 柳葉敏郎 緒形直人 池内博之 マイコ 堤真一 西田敏行 高島礼子 橋爪功 山崎努
SPACE BATTLESHIP ヤマト

想像力の限界、発想の貧弱さに笑ってしまう
アニメ2199と比較するのも失礼なほどの駄作・愚作


うろぱす副船長評価 5点


2013年8月現在 YAHOO映画レビュー得点2.73点(投稿者 4167名) ファン数339名

現在、劇場公開とテレビ放映が並行しているアニメ「宇宙戦艦ヤマト2199」(以下:2199)
私も劇場版を観たが完成度は非常に高く多くの古参ファンからも広範な支持を得ているようだ。2199は昭和49年にテレビ初放映された「宇宙戦艦ヤマト」(以下:旧作)のリメイク版だが最新の技術で撮られているだけあった映像美は感嘆するほど素晴らしい。新しい解釈も多く加えられており物語りはとても重厚となっている。また魅力的なキャラクターも多数登場するなど過去に製作された「ヤマト」作品の中でも群を抜く水準だろう。

私の様な保守系軍事オタクから観ると軍事考証面に相当気合が入っているのが嬉しい。
”右舷(みぎげん)、左舷(ひだりげん)、撃ち方はじめ(ウチーカタはじめ)”といった旧海軍や海上自衛隊独特の用語も使用されており「ヤマト」属する地球防衛軍日本部隊が実は日本海軍の伝統を継承する末裔である事を上手く描けている。

ところでキムタク主演の実写版である


山崎貴が監督した「SPACE BATTLESHIP ヤマト」(以下:実写版)
脚本は山崎監督の奥さんらしい。そもそも実写で「ヤマト」の壮大な物語を描けるのか相当に疑問であったし事実、本作の製作が発表されてからも同様の疑問や不安の声はネット上に多く見られた。

旧作の初放映から既に40年近くが経過している。
「ヤマト」はもはや国民的アニメ、というよりは国民的文化となっている。それを実写化したら成功すればいいが失敗したら笑いの種になることは当初から必至であった。「ヤマト」を実写化する、という事は黒澤時代劇の傑作「隠し砦の三悪人」をリメイクするよりはるかに難しいのだ。

製作サイドはそんな事、分かったうえで「ヤマト」の実写化に望んだハズだ。
だが、大方の予想通り「ヤマト」実写版は散々たる駄作・愚作であった。

多くの方がご覧になったと思うのであまり多くは羅列しないが「ヤマト」最古参ファンである私もここまで酷い内容になるとは逆の意味で創造出来なかった。

①ガミラスやイスカンダルが無形化されヤマト乗員に憑依する形で現われる。
デスラーやドメル、スターシアは地球側登場人物と同様に重要なキャラクターであり「ヤマト」には絶対欠かせない存在だ。彼らを外す事自体、脚本家が「ヤマト」の価値がまるで理解出来ていない証左なのだ。

青い顔のガミラス人をどうやって表現するのか、見る前に真剣に考えていた自分が情けない・・・(泣)
今になって考えれば製作発表時にデスラー役もスターシア役もいなかったな。

②地球を救う、という重大な使命がはるはずなのにヤマト乗員にな緊張感の欠片も感じられない。艦内はまるで渋谷や新宿の喫茶店かクラブみたい。
③地球から遠く離れているはずの大マゼラン星雲にあっという間に到達する。
④なんでオヤジの佐渡軍医長が美人の女医さんに設定変更されたのか・・・?
⑤ガミラス軍の兵器はどこぞのハリウッド映画に登場した奴にそっくり
⑥キムタクはやはりキムタク、どの作品でも彼はキムタクしか演じられないのか・・・


ガミラスやイスカンダルの描き方は予算がない、上映時間の制約などで理由で何とか大目に見れても艦長代理であるキムタクがガミラスとの決戦を直前にして部下の女性乗員を強姦するなんて「ヤマト」と多くのファンを冒涜しているとしか思えない。仮にもヤマトは軍艦であり乗員は軍人のはずだ。2199のスタッフはヤマトが軍艦であることを強く認識しているが実写版では監督も脚本家もそれを認識出来なかったのだろう。実写版のスタッフにとって「ヤマト」はファンタジーの世界でしかないのだ。

想像力があれば予算がなくても、もう少し何とかなったはずだ。


邦画共通の問題だが製作費の限界から「ヤマト」実写版にも限界があったことは私にも分かる。
それでも本作の想像力と発想の欠如は表現者としては情けない、としか言いようがない。プロとしての誇りがあるとは到底思えないのだ。

ここまで内容が改悪・改竄されるともはや私が知っている「ヤマト」とは言えなかった。実写版は「ヤマト」の名を借りたパロディーとして見るしかないようだ(それにしては金がかなっているが・・・)


原作が漫画やアニメでも実写化で成功した映画はある。
「バットマン」の原作はアメコミだが実写化されても多くの観客から支持された。それを言えば山崎監督の出世作となった「ALWAYS 三丁目の夕日」も原作は漫画だ。「ヤマト」実写化にあたり山崎氏が監督に推されたのも「三丁目の夕日」での秀逸な演出があったればこそだろう。

製作現場には「ヤマト」ファンも多数いたと思うのだが”この作品は少し変だ”という空気はあったのだろうか・・・

まぁ、誰が監督でもやはり実写化は無理だったのか・・・


テーマ:映画レビュー - ジャンル:映画

  1. 2013/08/04(日) 19:31:01|
  2. 映画
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うろぱす副船長

Author:うろぱす副船長
うろぱす副船長と申します。
以前からYAHOO映画レビューを書かせて頂いておりますがYAHOO映画では過去記事の訂正や加筆・修正が出来ないのでこちらであらたに書き直したいと思っています。

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